メンズ脱毛の基本:医療脱毛・光脱毛・自己処理の違いと仕組み
ヒゲや体毛の手入れを楽にしたいと考えて、脱毛を調べ始める男性が増えています。ただ、「医療脱毛」「光脱毛」「永久脱毛」など言葉が多く、違いが分かりにくいのが実情です。この記事では、方法ごとの違いと、毛が減る仕組み、知っておきたいリスクを順に説明します。
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- 医療脱毛・サロンの光脱毛・自分での処理の違い
- 熱で毛を作る所を弱らせる仕組みと、何回も通う理由
- サロンが「永久脱毛」と言えない法律上の理由
- 効果と同じくらい大切な、やけどなどのリスク
脱毛の方法は大きく3つ
1つ目は、医療機関で受ける医療脱毛です。レーザーなどの強い光で、毛を作る部分に熱を与えて壊します。この行為は医師の判断と技術が要る「医行為」にあたり、医療機関でしか行えないです(国民生活センター, 2017)。
2つ目は、エステサロンの光脱毛です。サロンでできるのは、毛を作る部分を壊さない範囲での一時的な除毛・減毛に限られます(国民生活センター, 2017)。サロンや家庭用の脱毛器の多くは、いくつもの波長がまざった光(IPL)を使っています(日本皮膚科学会ほか, 2022)。
3つ目は、かみそり・毛抜き・除毛クリームなどの自己処理です。費用は小さく済みますが、毛はまた生えてくるので、手入れを続ける必要があります。
毛を作る所に熱を与える仕組み
医療用のレーザーは、毛に含まれる黒い色素(メラニン)に吸収されて熱に変わります。その熱が毛の根元に伝わり、毛を作る細胞のあたりを傷めることで、毛が生えにくくなります(日本皮膚科学会ほか, 2022)。黒い服が日なたで熱くなるのと似た原理です。
この仕組みのため、白髪や金色の毛にはほとんど効かないです(日本皮膚科学会ほか, 2022)。また、日焼けした肌や色の濃い肌は、肌そのものも熱を持ちやすく、やけどに注意が必要になります(乃木田, 2020)。
何回も通う理由は「毛の生え変わり」
毛は、伸びる時期・抜け落ちる時期・休む時期をくり返しています(毛周期)。レーザーがよく効くのは伸びている時期の毛で、休んでいる毛には効果がほとんど出なかったという研究があります(Lasers Surg Med, 2000)。肌の下では毛ごとに時期がずれているため、生え変わりに合わせて間をあけ、何回かに分けて照射します。
皮膚科医の講演では、部位や個人差はあるものの、通常5〜7回程度の施術が必要とされています(乃木田, 2020)。回数の見通しは、診察の時に医師へ確かめましょう。
サロンで「永久脱毛」と言えない理由
厚生労働省は2001年の通知で、使う機器が医療用かどうかにかかわらず、強い光を毛の根元に当てて毛を作る部分を壊す行為を、医師でない人が仕事として行えば医師法第17条違反になると示しています(厚生労働省, 2001)。毛穴に針を入れて電気を流す脱毛も、医行為とされています(国民生活センター, 2017)。
つまり、毛を作る部分を壊して長く生えにくくする施術は医療機関の仕事であって、サロンの仕事ではないです。サロンの広告で「永久脱毛」とうたっている場合は、その表現自体を疑ってかかりましょう。
医療脱毛でも「一生生えない」とは限らない
医学の世界では、ふつうの生え変わりの周期を超えて毛の本数が大きく減った状態が続くことを「永久減毛」と呼んでいます(乃木田, 2020)。毛が1本も生えなくなると約束する言葉ではないです。
海外の2施設の調査では、最後の施術から約11年半たった173人のうち152人(87.9%)で、毛が減った状態が保たれていました(日本皮膚科学会ほか, 2022)。一方で、色の薄い細い毛や産毛は反応が弱く、効果が一時的になりやすいと指摘されています(乃木田, 2020)。
主なリスクと副作用
医療脱毛は皮膚の中に熱を与える施術なので、やけど、赤みや腫れ、毛穴の炎症(毛のう炎)、しみのような色の残り(色素沈着)、まれに傷あとが起こることがあります(日本皮膚科学会ほか, 2022)。照射した場所の産毛がかえって太く濃くなる「硬毛化」という現象も報告されています(乃木田, 2020)。
国民生活センターのアンケートでは、脱毛を受けた1,000人のうち25.5%が、施術後に痛み・かゆみ・やけどなどの症状を経験していました(国民生活センター, 2017)。サロンでも医療機関でも、リスクがゼロになることはないです。副作用とその対処は、別の記事で詳しく説明しています。
自分に合う方法の選び方
脱毛の多くは、手入れの手間を減らしたい、見た目を整えたいという美容目的の施術です。医学的にどうしても必要になる場面は限られるので、急いで決める必要はないです。医療脱毛は健康保険がきかない自由診療で、費用は全額自己負担になります(山田, 2015)。
- 手入れを長く減らしたい:医療脱毛を検討する(費用とリスクの説明を医師から受ける)
- まず費用をおさえたい:自己処理を続け、肌荒れが出る方法は避ける
- サロンを使う:一時的な減毛であることを理解し、契約内容を確かめる
ヒゲ、VIO(デリケートゾーン)、クリニックの選び方は、それぞれ別の記事で詳しく説明しています。
受診の目安
脱毛の後に、水ぶくれ、強い痛み、数日たっても引かない赤みや腫れ、膿(うみ)を持ったブツブツが出た時は、施術を受けた所に連絡し、皮膚科を受診しましょう。脱毛したい部分に湿疹などの皮膚の病気がある時や、毛が急に増えたなど体の変化が気になる時も、先に皮膚科で相談しましょう。
最終確認日:2026年9月30日
参考にした資料
- 国民生活センター「なくならない脱毛施術による危害」(2017年)
- 厚生労働省「医師免許を有しない者による脱毛行為等の取扱いについて」(医政医発第105号、2001年)
- 日本皮膚科学会・日本形成外科学会ほか「美容医療診療指針(令和3年度改訂版)」第5章 脱毛治療(2022年)
- 乃木田俊辰「レーザー脱毛の注意点」第118回日本皮膚科学会総会 教育講演(ラジオNIKKEI、2020年)
- Influence of the anagen:telogen ratio on Q-switched Nd:YAG laser hair removal efficacy. Lasers Surg Med(2000年)
- 山田裕道「外用局所麻酔剤リドカイン・プロピトカイン配合クリームのレーザー脱毛時における有用性の検討」日本レーザー医学会誌(2015年)