脱毛の副作用・トラブルと対処法:やけど・毛のう炎・色素沈着・硬毛化
脱毛は、光や熱で皮膚の中の毛を作る部分に働きかける施術なので、医療機関でもサロンでも、肌のトラブルが起こることがあります。起きた時に慌てないよう、主な症状の見分け方と、相談先・受診先を知っておきましょう。この記事では、脱毛で起こりうる副作用と、困った時の動き方を説明します。
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- 国民生活センターに寄せられた脱毛のけがの相談の傾向
- やけど・赤み・毛のう炎・色素沈着・硬毛化の特徴
- トラブルが起きた時にすること
- 相談先(188、医療安全支援センター)と受診先
脱毛のけがの相談は少なくない
国民生活センターのまとめでは、2012年度から約5年間に、脱毛でけがなどの被害を受けたという相談が964件寄せられました。内訳はエステが680件、医療機関が284件で、どちらも皮膚の障害とやけど(熱傷)が多くみられました(国民生活センター, 2017)。被害について医療機関で治療を受けた割合は、エステで57.3%、医療機関で67.0%でした(国民生活センター, 2017)。
同じ調査のアンケートでは、脱毛を受けた1,000人のうち25.5%が施術後に痛みやかゆみ、やけどなどを経験し、そのうち7割以上は事前にリスクの説明を受けていなかったと答えています(国民生活センター, 2017)。美容医療全体の相談も増えており、2024年度は10,717件でした(国民生活センター, 2025)。
やけど(熱傷)・赤み・腫れ
レーザーや光の熱が、毛だけでなく肌にも強く伝わると起こります。赤み、ヒリヒリする痛み、水ぶくれ、かさぶたなどが出ます。日焼けした肌や色の濃い肌は熱を持ちやすく、注意が必要です。皮膚科医の講演では、早めの適切な処置が必要とされています(乃木田, 2020)。
一方、照射の直後に毛穴のまわりが赤く腫れるのは、よくみられる反応です。研究でも、施術後の赤みやむくみはほとんどの人にみられ、一時的なものだったと報告されています(日本皮膚科学会ほか, 2022)。数日たっても引かない、どんどん強くなる、水ぶくれができる場合は、やけどや炎症を疑いましょう。
毛のう炎(毛穴の炎症)
毛穴に炎症が起き、ニキビのような赤いブツブツや、膿(うみ)を持ったできものが出る状態です。レーザー脱毛の後に起こる一般的な合併症の1つとされています(日本皮膚科学会ほか, 2022)。ブツブツがくり返し出たり、広い範囲に広がったりする時は、自分でつぶさず皮膚科を受診しましょう。脚の付け根の脱毛の後に、皮膚の深い部分の感染で入院治療が必要になった例も報告されています(関東, 2024)。
色素沈着・色が抜ける
やけどや炎症の後に、しみのように茶色く残ることがあります(炎症後色素沈着)。多くは数か月から半年ほどで自然に薄くなるとされています(乃木田, 2020)。反対に、強い光で色を作る細胞が傷み、白く色が抜けることもあり(炎症後色素脱出)、こちらは回復にかなり時間がかかるとされています(乃木田, 2020)。色の変化が気になったら、次の照射を受ける前に医師へ相談しましょう。
硬毛化(毛がかえって太くなる)
照射した場所の産毛が、太く濃い毛に変わる現象です。原因ははっきりしておらず、対処法も確立されていないとされています(日本皮膚科学会ほか, 2022)。顔や首に起こりやすく、頻度は全体で約3%という分析があります(Snast ほか, 2021)。ヒゲ脱毛との関係は、別の記事で詳しく説明しています。
トラブルが起きた時にすること
国民生活センターは、トラブルが起きたら施術を受けた所に申し出たうえで、必要なら早めに医療機関を受診し、消費生活センターにも相談するよう助言しています(国民生活センター, 2017)。
- 施術を受けた所に、症状と経過を伝える
- 症状が出た部分を、日付がわかるように写真で残す
- 必要に応じて皮膚科を受診する(施術を受けた所の対応に不安があれば、別の医療機関でもよい)
- 契約書・領収書・説明書類を手元に保管する
- 返金や治療費で話がまとまらない時は、消費生活センターに相談する
国民生活センターの調べでは、医療機関での脱毛で被害を受けて治療した人の45.9%が、脱毛を受けた所とは別の医療機関を受診していました(国民生活センター, 2017)。受診先を変えることは珍しいことではないです。
困った時の相談先
- 消費者ホットライン「188(いやや!)」:最寄りの市区町村や都道府県の消費生活センターにつながる。契約・解約・返金の相談に向く
- 医療安全支援センター:都道府県や保健所を置く市などにあり、医療に関する苦情や心配ごとの相談を受ける(厚生労働省, 2026年9月閲覧)
- 保健所:エステで医療行為にあたる疑いのある施術を受けた時は、情報を伝える(国民生活センター, 2017)
厚生労働省も、美容医療の相談窓口として、医療の心配ごとは医療安全支援センター、契約のトラブルは188を案内しています(厚生労働省, 2026年9月閲覧)。
受診の目安
水ぶくれ、強い痛み、数日たっても引かない赤みや腫れ、膿(うみ)を持ったブツブツ、熱っぽさや腫れが広がる感じ、色の変化が続く時は、皮膚科を受診しましょう。受診の時は、いつ・どこに・どんな施術を受けたかを伝えると、診察がスムーズになります。
最終確認日:2026年9月30日
参考にした資料
- 国民生活センター「なくならない脱毛施術による危害」(2017年)
- 国民生活センター「美容医療サービス(各種相談の件数や傾向)」(2025年8月更新)
- 日本皮膚科学会・日本形成外科学会ほか「美容医療診療指針(令和3年度改訂版)」第5章 脱毛治療(2022年)
- 乃木田俊辰「レーザー脱毛の注意点」第118回日本皮膚科学会総会 教育講演(ラジオNIKKEI、2020年)
- 関東裕美「エステサロン等での脱毛・HIFU(ハイフ)による事故」国民生活(国民生活センター、2024年)
- Snast I, et al. Paradoxical Hypertrichosis Associated with Laser and Light Therapy for Hair Removal. Am J Clin Dermatol(2021年)
- 厚生労働省「医療安全支援センター総合支援事業」(2026年9月閲覧)
- 厚生労働省「美容医療を受ける前にもう一度」リーフレット(相談窓口の紹介、2026年9月閲覧)