男性器(陰部)のにおいのケア:原因、洗い方、においの変化で気づく病気と受診先
男性器のにおいは、人に相談しにくく、ネットの情報だけで不安を大きくしてしまいやすい悩みです。ふだんのにおいの多くは、汚れや汗がたまることで生まれ、毎日の洗い方と蒸れ対策で整えられます。一方で、においが急に変わったときは、炎症や感染症のサインのこともあります。この記事では、においの主な原因、正しい洗い方、尿の残りへの対策、下着の選び方、においの変化から考えられる病気と受診先を、英国の公的医療機関(NHS)や厚生労働省の情報をもとにまとめます。
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- においの主な原因(恥垢、汗・皮脂・蒸れ、尿の残り)
- ぬるま湯で洗う・よく乾かすなど、毎日の洗い方と洗いすぎの注意
- においの変化とあわせて出る症状で考えられる病気(亀頭包皮炎・カンジダ・性感染症など)
- 泌尿器科・皮膚科を受診する目安と、保健所の検査
においの主な原因は3つ
男性器のまわりのにおいは、主に次の3つが重なって生まれます。
- 恥垢(ちこう):皮の内側にたまる、白っぽいかす状の汚れ。性器まわりの皮脂腺から出る脂と、はがれた皮膚の細胞などが混ざったもの
- 汗・皮脂・蒸れ:下着に覆われて湿気がこもり、菌が増えやすい
- 尿の残り:排尿後に尿道に残った数滴が、あとから下着にしみ出る
医師向けの解説では、尿・汗・恥垢などの湿ったものが皮の内側に閉じこめられると、細菌やカビ(真菌)が増える温床になり、亀頭と包皮の炎症(亀頭包皮炎)の多くはここから始まると説明されています(Perkinsほか, 2024)。恥垢そのものは病気ではないですが、ためたままにしないことが、におい対策の出発点です。
毎日の洗い方
NHSは、男性器を毎日ぬるま湯で洗い、皮をやさしく引き下げて内側を洗い、洗ったあとはやさしく乾かすよう案内しています(NHS「Balanitis」, 2023)。
- 皮をむける人は、痛くないところまでやさしく引き下げる
- 亀頭と、根元のくびれの部分をぬるま湯で洗い流す
- タオルで押さえるようにして水気をふき、よく乾かす
- 皮を元の位置に戻す
乾かしてから皮を戻すのは、内側に湿気を閉じこめないためです。むけない人や、皮が突っぱって痛む人は無理にむかず、泌尿器科に相談しましょう。包茎の人の洗い方の細かな注意や、皮が戻らなくなったときの対応は、別の記事で詳しく説明しています。
洗いすぎと、香りでごまかすケアの注意
においが気になると、石けんで何度も洗いたくなります。ただ、性器の皮膚は薄くデリケートで、洗いすぎはかえって逆効果になることがあります。
- NHSは、亀頭包皮炎がある場合は石けんやボディソープを使わず、お湯か保湿剤で洗うよう案内している。石けん、ボディソープ、コンドームなどが皮膚への刺激になることもある(NHS「Balanitis」, 2023)
- 医師向けの解説では、性器をひんぱんに洗っていて炎症をくり返す人には、かぶれ(接触皮膚炎)が多いとされている(Perkinsほか, 2024)
- NHSは、男性器にデオドラントを使わないよう案内している(NHS「Thrush in men and women」)
ふだんから石けんを使う場合は、香料の入っていないものを少量にして、よくすすぎましょう。わき用の制汗剤や香水でにおいを隠すと、刺激で炎症を起こしたり、病気のサインに気づきにくくなったりします。
尿の残りを減らす工夫
排尿してトイレを出たあとに、数滴の尿がもれて下着をぬらす状態を「排尿後尿滴下」といいます。尿道を囲む骨盤の底の筋肉が尿を押し出しきれず、尿道に尿がたまって、動いたときにもれ出るものです。年齢を問わず多くの男性にみられるとされています(Gloucestershire Hospitals NHS, 2024)。下着についた尿は、時間がたつとにおいの原因になります。
英国の病院の案内では、次の方法が紹介されています(Gloucestershire Hospitals NHS, 2024)。
- いつもどおり排尿し、数秒待つ
- 陰のうの後ろ、指3本分ほどのところに指先を当て、やさしく押す
- 押したまま、陰のうの下を通って陰茎の付け根の方へ指をすべらせる
- 尿道に残った尿を先へ送り出してから、いつもどおり振って切る
外出先では個室を使うと落ち着いて行えます。排尿に時間がかかる、回数が多い、急に行きたくなるといった症状もある場合は、泌尿器科に相談しましょう。
下着と蒸れ
蒸れは、においとカビの両方を増やします。NHSは、カンジダ(カビの一種)の予防として、綿の下着を選び、きつい下着を避け、洗ったあとによく乾かすことを勧めています(NHS「Thrush in men and women」)。汗をかいた日は早めに着替え、ぬれた水着やスポーツウェアを長く着たままにしないことも大切です。股や太ももの付け根のにおい・たむしの対策は、別の記事で詳しく説明しています。
においの変化で気づく病気
いつもと違うにおいに、次のような症状が加わったときは、病気が隠れていることがあります。
- 亀頭包皮炎:亀頭が赤く腫れ、かゆみや痛みが出る。排尿時の痛み、皮の内側からの濃い分泌物、出血、不快なにおいをともなうことがある。原因は洗い方の不足、カンジダ、性感染症、石けんなどの刺激、糖尿病などさまざま(NHS「Balanitis」, 2023)
- カンジダ(性器カンジダ症):亀頭や皮の内側の赤み・ヒリヒリ感、白いかす状の分泌物、不快なにおい、皮がむきにくくなるなど。性感染症には分類されないが、性行為がきっかけになることがある。管理が不十分な糖尿病、抗菌薬の服用、免疫の低下で起こりやすい(NHS「Thrush in men and women」)
- 性感染症(淋菌感染症、クラミジア感染症、トリコモナス症など):排尿時の痛み、尿道からのうみや分泌物など。症状が出ないことも多く、気づかないうちに相手にうつすことがある(厚生労働省「淋菌感染症」;NHS「Trichomoniasis」, 2025)
- 尿路の感染症:排尿時の痛みや、尿が濁る・においが強いなど。尿のにおいだけが変わった場合は、水分不足のこともある(NHS「Urinary tract infections」)
医師向けの解説では、亀頭包皮炎は男性の12〜20%にみられ、糖尿病のある男性では約35%と多いとされています(Perkinsほか, 2024)。くり返す場合やカビによる炎症の場合は、血糖値の検査を勧められることがあります(NHS「Balanitis」, 2023)。
受診の目安と受診先
次のような場合は、泌尿器科か皮膚科を受診しましょう。
- においが急に強くなった、いつもと違うにおいが続く
- 亀頭や皮に赤み・腫れ・かゆみ・痛みがある
- 皮の内側や尿道から、うみや分泌物が出る
- 排尿のときに痛む、回数が増えた、尿が濁る
- 洗い方を見直しても、炎症やにおいがよくならない、何度もくり返す
性感染症が心配な場合は、症状があれば泌尿器科などの医療機関へ、症状がなく不安なだけの場合は保健所の検査も利用できます。厚生労働省によると、保健所ではHIVの検査を無料・匿名で受けられ、梅毒・クラミジア・淋菌などの検査を一緒に受けられるところもあります(一部有料、予約が必要な場合あり)(厚生労働省「性感染症検査・相談マップ」)。性感染症と診断された場合は、パートナーも受診して治療を受けることが大切です(厚生労働省「淋菌感染症」)。
発熱、陰のうの腫れや強い痛み、排尿できないといった症状があるときは、様子を見ずに早めに受診しましょう。
症状があって受診する場合、診察・検査・薬は健康保険の対象になります。泌尿器科は男性器の悩みを日常的に診ている診療科なので、においの相談だけでも気後れする必要はないです。
最終確認日:2026年9月30日
参考にした資料
- NHS(英国国民保健サービス)「Balanitis」(2023年)
- NHS「Thrush in men and women」
- NHS「Trichomoniasis」(2025年)
- NHS「Gonorrhoea」
- NHS「Urinary tract infections (UTIs)」
- Gloucestershire Hospitals NHS Foundation Trust「After dribble (post micturition dribble)」(2024年5月)
- Perkins OS, Leslie SW, Cortes S. Balanoposthitis. StatPearls(2024年5月更新)
- 厚生労働省「淋菌感染症」
- 厚生労働省「性器クラミジア感染症」
- 厚生労働省「性感染症検査・相談マップ」