サプリより先に見直したいこと:食事・睡眠・運動と、受診の目安
体の衰えが気になり始めると、まずサプリメントに手が伸びがちです。けれども、国の資料では、健康づくりの基本は栄養・運動・休養であり、健康食品はその土台の上で使うものと位置づけられています。この記事では、男性向けサプリによく入っている亜鉛を例に、食べ物からどれくらいとれるのか、どこからがとりすぎなのかを国の基準で確かめ、あわせて睡眠と運動の目安、受診を考えたい場面を説明します。
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- 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」で見る、男性の亜鉛の推奨量と上限量
- 亜鉛を多く含む身近な食べ物と、サプリを重ねたときのとりすぎの危険
- 国のガイドが示す睡眠と運動の目安
- サプリに頼りすぎず、受診を考えたほうがよい場面
まず「本当に必要か」を考える
厚生労働省のパンフレット「健康食品の正しい利用法」は、健康食品を買う前に本当に必要かどうかを考えること、そして健康増進の一番の基本は栄養・運動・休養であることを示しています(厚生労働省)。消費者庁も、主食・主菜・副菜のそろった食事がいろいろな栄養素をバランスよくとることにつながり、そのうえで保健機能食品を上手に使うことができるとしています。1日の目安量より多くとっても、より高い効果が得られるものではないとも明記しています(消費者庁)。
家づくりにたとえると、食事・睡眠・運動は基礎工事で、サプリメントは内装の小物のようなものです。基礎が傾いたまま小物をいくら足しても、家はまっすぐになりにくいです。
亜鉛の推奨量と上限量(食事摂取基準2025年版)
亜鉛は、男性向けサプリメントによく入っているミネラルです。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、男性の1日あたりの量が次のように決められています(厚生労働省, 2024)。
| 年齢 | 推奨量(ほとんどの人が必要量を満たす量) | 耐容上限量(これ以上とり続けると健康被害のおそれが出てくる量) |
|---|---|---|
| 18〜29歳 | 9.0mg | 40mg |
| 30〜49歳 | 9.5mg | 45mg |
| 50〜64歳 | 9.5mg | 45mg |
| 65〜74歳 | 9.0mg | 45mg |
| 75歳以上 | 9.0mg | 40mg |
2020年版では成人男性の推奨量は10〜11mgでしたが、2025年版では計算の根拠となるデータが見直され、9.0〜9.5mgになりました(厚生労働省, 2024/国立健康・栄養研究所)。この基準は2025年度から2029年度まで使われます。
実際にどれくらいとれているかというと、2019年の国民健康・栄養調査では、男性の平均摂取量は1日9.2mgでした(国立健康・栄養研究所)。平均で見れば、推奨量に近い量を食事からとれています。
亜鉛は身近な食べ物からとれる
亜鉛は細胞のすべてに含まれるため、肉、魚介、種実、穀類など多くの食品に含まれています。1食分あたりの量の例は次のとおりです(国立健康・栄養研究所, 日本食品標準成分表2020年版(八訂)より)。
- かき(生)60g:8.4mg
- 牛ヒレ(焼き)100g:6.0mg
- 牛ひき肉(焼き)50g:3.8mg
- ラムもも(焼き)80g:3.6mg
- 若鶏もも・皮付き(焼き)100g:2.5mg
- うなぎのかば焼き80g:2.2mg
- がんもどき100g:1.6mg
- 玄米ごはん150g:1.2mg
- そば(ゆで)200g:0.8mg
たとえば、昼に牛ひき肉を使ったおかず、夜に鶏ももと玄米ごはんを食べれば、それだけでおよそ7.5mgになります。肉や魚をふだんから食べている人なら、特別なことをしなくても推奨量に近づけることが分かります。
サプリを重ねると、上限量に近づくことがある
栄養機能食品として亜鉛を表示できる製品は、1日の目安量あたり最大15mgまで入れられます(国立健康・栄養研究所)。仮に、30歳の男性が15mg入りの製品を2種類飲み、食事から9mgとると、合計は39mgになり、上限の45mgにかなり近づきます。18〜29歳の上限は40mgなので、ほぼ上限と同じ量です。
亜鉛のとりすぎが続くと、銅や鉄の吸収が妨げられ、貧血、免疫の異常、神経の症状、下痢、HDLコレステロールの低下などが起こるおそれがあります。一度に大量にとると、胃の不調、めまい、吐き気が出ることもあります(国立健康・栄養研究所)。マルチビタミン・ミネラルと男性向けサプリを一緒に飲むなど、同じ成分が重なりやすい組み合わせには注意しましょう。
亜鉛の不足は、偏った食事のほか、病気や一部の薬の影響で起こることもあります(国立健康・栄養研究所)。味が分かりにくい、皮膚炎が続くなどの症状がある場合は、サプリで補う前に医療機関で相談しましょう。
睡眠:6時間以上を目安に
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、成人は、必要な睡眠時間に個人差があることを前提に、6時間以上を目安として睡眠時間を確保することをすすめています。睡眠不足やさまざまな睡眠の問題が続くと、肥満、高血圧、2型糖尿病、心臓の病気、脳の血管の病気になりやすくなったり、悪化したりすることが分かっています(厚生労働省, 2023)。
成人向けの推奨事項は、次の3つです(厚生労働省, 2023)。
- 個人差はあるが、6時間以上を目安に必要な睡眠時間を確保する
- 食事や運動などの生活習慣、寝室の環境を見直して、眠って休めたという感覚(睡眠休養感)を高める
- 眠りの不調や、休めた感じが減っている場合は、生活習慣の見直しが大切だが、病気が隠れている可能性にも気をつける
ガイドには、寝室の環境づくりや、お酒・たばこ・カフェインなどの嗜好品と睡眠の関係についての参考情報もまとめられています。
いびきや睡眠中の呼吸の停止と、勃起の悩みとの関係は、別の記事で詳しく説明しています。
運動:1日60分・約8,000歩が目安
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」は、成人に次のような目安を示しています(厚生労働省, 2023)。
- 歩くこと、またはそれと同じ程度以上の強さの体の活動を、1日60分以上(1日約8,000歩以上)
- 息がはずみ汗をかく程度以上の運動を、週60分以上
- 筋力トレーニング(腕立て伏せやスクワットなど自分の体重を使うものを含む)を週2〜3日
- 座りっぱなしの時間が長くなりすぎないようにする
ガイドは、個人差をふまえて強さや量を調整し、今より少しでも多く体を動かすことを全体の方向性としています。通勤で一駅分歩く、エレベーターを階段に変えるといった小さな積み重ねも立派な身体活動です。運動や体重と勃起の働きの関係を調べた研究は、別の記事で詳しく説明しています。
サプリに頼りすぎないための考え方
健康食品の広告を規制する健康増進法には、表示を信じた人が食品をとり続け、適切な診療を受ける機会を逃してしまうことを防ぐという目的があります(消費者庁, 2024)。「サプリを飲んでいるから大丈夫」という安心が、受診を遅らせる理由になってしまうことが、いちばん避けたい落とし穴です。
- 飲む目的と期間を決め、効果を感じなければ続けない
- 何を、いつから、どれくらい飲んでいるかをメモしておく
- 持病がある、薬を飲んでいる場合は、始める前に医師か薬剤師に相談する
表示の種類や品質の見方、成分ごとの研究、強壮系の健康食品の危険については、それぞれ別の記事で詳しく説明しています。
受診を考えたい場面
勃起の悩みは、心臓の病気と同じ血管の老化(動脈硬化)を土台に起こることがあり、体を点検するきっかけにもなります(ED診療ガイドライン第3版, 2018)。原因や治療の選択肢、生活習慣との関係は、別の記事で詳しく説明しています。サプリメントで様子を見続けるより、一度、専門の医師に相談しましょう。
受診の目安:次のような場合は、泌尿器科や内科に相談しましょう。
- 勃起の悩みが数か月続いている、または悪くなっている
- 健診で血糖・血圧・コレステロールの異常を指摘されたまま受診していない
- 尿が出にくい、夜に何度もトイレに起きる
- 十分に寝ても強い眠気やだるさが続く
胸の痛みや強い息苦しさがある場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。
最終確認日:2026年9月30日